性美学研究会

現代の性的コンテンツを哲学的に省察してぼちぼち載せるブログ。

「ポストモダンAV論」研究論考

はじめに 我々にとってアダルトビデオ、AVとは何か。我々にとってアダルトビデオは思考の対象なのか、単なる性生活のツールに過ぎないものなのか。まずこのことに関して論じないことには、真にアダルトビデオに迫ることはできないだろう。また、考察を始める…

全年齢派駁論

初めに 私の研究対象は性コンテンツ、特に成年向け美少女ゲームである。2018年現在成年向け美少女ゲームは窮地に立たされている。というのも、物語における性交渉描写の存在の懐疑派がはびこっているからだ。彼らは皆、口をそろえ主張する。性交渉の描写…

固定化された世界における他愛という自己愛

アウグスティヌスの神への信仰は他のキリスト教的文脈同様に愛という表現をもってテキストに表れる。しかし、それは真の愛なのだろうか。彼の愛における対象である神は、完全善であり、原罪の為に自由意志を正しく用いることができない人間を恩寵によって正…

愛なき告白

まず始めに好きと愛が存在するものだと仮定し、両者が互いに異なるものだと仮定する。そして我々が熟知するように好きには何らの対象を必要とする。ある特定の人物が好き、その人物のどこか一つの部分が好き、さらに人から離れて、物体や概念も好きの対象に…

幼馴染論考-理論編-

目次 1,記号化された幼馴染みという属性 2,絶対的な他者との出会い a,愛の概念分析 b,再帰的世界における擬似的他者 c,超越性の超克 3,絶対の他者との出会い~人格概念としての表現と自己~ 4,幼馴染みという人格概念 5,実践編への布石と理論的問題 6,謝辞 1…

絶頂論考③―真理に関する一般的考察―

美少女ゲームの射精シーンにおける画面の明滅という地点から、本論考ははじまった。ならば、最終論考では、ポルノ映画や官能小説へと風呂敷を広げずに、美少女ゲームの話題に終始するのが道理ではないか? さて、今回の主題は、性的絶頂時に至る真理の具体的…

絶頂論考②―電撃に関する一般的考察―

電流と快楽。両者は一見相容れないものであるかのように思われる。しかし、聡明な当ブログの読者諸君ならお気付きだろうが、特にアダルビデオ、アダルビデオゲームにおいて両者はただならぬ関係性を築いてきた。 主にSMプレイのハードさを演出する技法として…

絶頂論考①ー射精に関する一般的考察ー

ポルノコンテンツは人間本来の性的衝動に根差しながらも、それをある種超克した表現技法を取ることがままある。本論考では射精と電撃の誇張にも思える表現の背後に潜む、人間の原初的な在り方を考察する。 今回考察するのは、主にアダルトゲームやアダルアニ…

少女性愛の心理的分析及び人間の本性的美・甘美・快楽の人類学的考察②

純粋客体としての対象はなんらかの神聖な象徴を付与させられることも見受けられる。例えば純粋客体の内もつとも純粋な存在は神であり、神は論理学的規定を超越し、各人が様々な性質や人格を投影する。その際に必ず対象が客観として「対象化」される認識にお…

少女性愛の心理的分析及び人間の本性的美・甘美・快楽の人類学的考察➀

少女性愛が日本とくに現代ポップカルチャーにおいて広く認知されている要因は何であろうか。少女性愛すなわちЛолита - Lolitaなるものが広く知られた始まりはナボコフの『ロリータ』である。だが、その文学や現代の表象は古来より様々な形で現れた人間心理の…

ヒロインは主人公に愛を持つか①

「何故ヒロインは主人公が好きなんだろう」このような疑問を抱いた事は無いだろうか。 性美学研究会として、この疑問にも真面目に取り組んで行こうと思う。陵辱や痴漢等を題材にしたものでなければ、エロゲはほぼ必ずヒロインとの恋愛関係を持つことになる。…

『Dies irae』考察➀

はじめまして、会長です。会員の力で性美学研究会はここまでこぎつけました。ブログが開設されて間もないですが、私としては、少しづつ美少女ゲームレビュー・考察をしていこうと思います。 そうですね。初回なので、流行に乗ったものから紹介をしていきまし…

性美研紹介その①

これからちょくちょく性美学研究会について紹介したいと思います。 今回はメンバーについて。 性美学研究会の構成員は、実のところ会長と研究員aしかおりません…。 しかし、当の会長はあまりネットに強くないので、もっぱら記事の更新などは私こと研究員が行…

ご協力をお願いします

我々、性美学研究会は研究対象となる作品のリクエストを募集しております。 一見なんの思想も含まれていないような作品中にも何かを見出すことをモットーとしておりますので、どんなリクエストであっても引き受けます。 よろしければコメントで教えてくださ…

「キラ☆キラ」論考全体への反省文by研究員

以前の記事で、キラ☆キラに関する考察文を載せました。 しかし、CARNIVAL等の瀬戸口作品を一つの連作としてとらえると、まだまだ書き損ねている点が数多くあります。 例えば、「キラ☆キラ」論考その②ではサルトルを引用した解釈などがありましたが、瀬戸口作…

「キラ☆キラ」論考その②~キラ☆キラ感想~

美少女ゲーム「キラ☆キラ」についての論文を公開します。こちらは研究員によるものです。 はじめに 本論は性美学研究会が発行する文書であり、しかるべき機会に発表されるであろう論文の未完成稿である。本来語られるべき各ルートへの考察が抜け落ちているばか…

「キラ☆キラ」論考その①~キラ☆キラ感想~

美少女ゲーム「キラ☆キラ」についての論文を公開します 当研究会の会長が執筆した論文を公開いたします。 はじめに 上智大学性美学研究会は、性愛をテーマとした作品を読み解き、議論をかわすのみの研究会ではない。性美学のセイとは単に性愛の性のみの意味…

性美学研究会、公式ブログを開設しました

こんにちは!性美学研究会です! 性美学研究会は、エロゲやポルノ作品に考察を加えることを目的とした団体です。 エロゲのシナリオから読み取れる哲学的思索について議論を展開し、論文を執筆したりもしています。 今後ともご愛顧くださいますようお願い申し…